日本映画鑑賞雑感 〜映画が好きな君は素敵だ〜 　漫才コンビ・エンタツアチャコの世界 ★『美人島探險「心臟が強い」より』【1937年(昭和12年)大谷俊夫監督】 　 存亡危機にある大八足新聞社は、一気に社運を挽回するために、「美人島探検記」を企画して売上げ回復を画策します。社員の中からエンタツとアチャコが選抜され美人島に上陸します。しかし、この島は男性禁制の女人だけの島で、島に行き帰ってきたものはいません。二人は女装して入島しますが、捕虜となりなります。二人は、島から脱出した女性（堤真佐子）を巧みに操り、島から逃げ、その体験記で新聞社は盛り返し、二人は重役に迎えられます。 　 秋田実原作の映画化です。横山エンタツさんと花菱アチャコさんの絶頂期のしゃべくり漫才を楽しむことができます。 ☆『エンタツ・アチャコの忍術道中記』【1939年(昭和14年)岡田敬監督】 　 怪盗紫團に殺された父の仇討ちに向かう花菱角之進（花菱アチャコ）と、捕り逃がしてしまった怪盗紫團を追う目明しの石松（横山エンタツ）の珍道中を描きます。角之進と石松は、仙人と称する老人（高勢実乗）から忍術のできる巻物を買いますが、仙人の娘・おつぎ（堤真佐子）から贋物と聞かされ、二人は意気消沈します。しかし、その巻物は偶然本物であることを知り、二人はその忍術を力を借りて、怪盗紫團に対峙します。 　 横山エンタツと花菱アチャコの漫才コンビのドタバタ喜劇映画です。二人の最盛期のしゃべくり漫才を堪能することができます。また、若き日の進藤英太郎さんや上田吉二郎さん、清川虹子さんらの活躍も見逃すことはできません。 ☆『エンタツ・アチャコの人生は六十一から』【1941年(昭和16年)斉藤寅次郎監督】 　 横山金助（横山エンタツ）は固形ガソリン、藤木瓶三（花菱アチャコ）はパラシュート花火を発明しますが、二人ともデモンストレーションで失敗します。金助と瓶三は家を出ますが、洗濯屋、炭鉱、工場などで二人は鉢合わせに、悉く対峙します。金助の息子・義雄（月田一郎）と瓶三の娘夏子（立花潤子）は、結婚することになりが、金助と瓶三は再び再会してお互いに貶し合います。しかし、若い二人の幸福を願い、金助と瓶三は和解します。還暦を迎えた二人は相変わらず元気よく喧嘩を続けます。 　 数々の喜劇映画を世に送り出した斉藤寅次郎監督で、当時の人気漫才コンビのエンタツ、アチャコの主演の喜劇です。若き日の加藤治子が、三舟京子の名で、金助の娘役で出演しています。デモンストレーションは「民族の祭典」で行われ、ドイツのベルリンオリンピックの記録映画と1940年に開催予定の東京オリンピップクの中止を意識したのではないかと推測します。最後にはエンタツ、アチャコのしゃべくり漫才も楽しめることができます。